—講演1)小児喘息 手塚純一郎医師(福岡市立こども病院)—
【喘息とは】
・喘息は3歳までに80%が始まると言われているので 早い段階で何らかの対応をとってあげること
・こどもの喘息の場合、アレルギー対策が一番重要で 特にダニ対策は重要
・乳児から学童になっていくと 生活が広がってくる。そこで例えばネコがいるなど 対応しなけれ
ばならないことが増える
おとなの指導ではうまくいかないので こども自身で対応できるように 病気との付き合い方を教
えてあげないといけない
・小児喘息は大きくなると治るといわれていたが そうではない
軽くなったものが治ったと勘違いされていたので 大人になるとまた症状が出てくる
・早期に治療に介入し、大人まで持ちこさないようにすることが重要
それであれば 喘息をよく知ることが必要
・一時期、気管支を拡げる薬が広がったが、死ぬ方も増えた
これは、気管支を拡げるだけではダメで 慢性的に炎症があることがわかったので、長期管理が重
要であることがわかった
気管支に炎症があるところに 風邪などでさらに狭くなることで発作がおきる
そこで 気管支拡張薬である貼り薬を使い続けるのはやめて 予防の薬を使っていい状態を続ける
ことが重要
治療の3本柱=ダニ対策、予防の薬を使う、体力をつくること
・喘息のこどもの発作が出やすい時とは、明け方、秋口、冬場にマラソンしたりした時
また、台風が発生すると発作が出てくるので注意
・赤ちゃんの場合の病院に連れて行く判断として、飲みが悪い、食欲がない、咳き込んで眠れない、
機嫌が悪い 症状は、ゼーゼーヒューヒューと別に胸を開けて見て 胸がペッコンペッコン(陥没
呼吸)する また 小鼻がピクピク、夜中でもすぐに救急車を呼ぶこと
・普段から状態を見ておかないと 症状が出てもわからないから注意してみておく
【予防について】
調子がいい状態を作ってあっげる=普通の事同じことができている状態
薬は大きく2種類あることを知っておくこと
①発作の治療薬=気管支拡張剤 ②予防の薬=アレルギーを抑える薬、吸入ステロイド薬
普段気を付けること=ダニ対策、受動喫煙、風邪をひかないように気を付ける、ペットを飼わない
ダニ対策=ダニが繁殖しづらい部屋づくり=掃除では駆除しきれない だから物をできるだけ置か
ない、掃除しやすい部屋づくり、
おふとん=まずはかわかすこと(ふとん乾燥機など)、シーツは週1回は洗うこと
ペット=一緒にいないことが予防、飼ってはいけないことを教えてあげる すでに飼っていれば手
放すこと、
運動について 運動すると発作が出ることがあるが、発作性が出るのは予防が足りていない証拠
発作が出やすいこと=冬場のマラソン(発送はぁはぁと息をするもの)、水泳は出づらい(温かく
て湿った環境で運動をするので発作が出にくい、さらに続けることで体力がついてくるので発作が
出にくくなる
運動する場合の注意点=ウォーミングアップを十分する、気管支が冷えて乾かない方がいいのでマ
スクをする
—講演2)アトピー性皮膚炎 西江温子医師(国立病院機構福岡病院 皮膚科)—
・通常の皮膚 =アレルゲンや微生物から守るバリア機能が正常に働いている
また水分が出ていきにくい状態なので 乾燥しにくい
アトピー性皮膚炎=皮膚の保湿成分が少なく、バリア機能が低下している
だから微生物やアレルゲンが侵入してきやすい⇒刺激を受けては湿疹を繰り返す
水分が出ていきやすくなり 乾燥している肌がさらに乾燥しやすくなる
かゆみを伝える神経が、表皮まで出てくることで かゆみにつながっている
【スキンケアの基本】
①皮膚を荒らす刺激に気を配ること
・入浴の際のポイント
よく泡立ててから使うこと(よく泡立てないとすすぎ残しが出やすくなり皮膚を荒らしてしまう)
皮膚を傷つけることなく優しく洗うこと
②肌を乾燥させない
・保湿剤は、長続きするように(無理なく塗れるように)好きなものを選ぶこと
・乾燥したら塗るではなく いつも乾燥していない状態にする→自身のベストの回数を知っておく
・どんなに忙しくても 入浴後は肌が乾燥しやすいので 必ず保湿をすること
薬の塗り方は、あらかじめ分散させて 手のひらで全体に塗りひろげる
③湿疹は薬を使って治す
・保湿剤と治療薬の塗る順番はどちらが先でも問題はないが、タイプが似ている薬の場合は、先に
治療薬を塗る方が良い
・その湿疹の強度に併せて薬を選択する
【塗り方注意3点】
①刷り込むのではなく患部にいきわたるようにやさしく塗り伸ばす
②表面が光り、少しペタペタ感があってティッシュペーパー1枚が貼りつく程度
③口径5mmのチューブなら指1関節分の長さ=手のひら2枚分の面積に塗る量
口径3.5mmではだいたい2倍、口径3mmではだいたい3倍の長さが必要
—講演3)食物アレルギー(柴田瑠美子医師 国立病院機構福岡病院 小児科)—
【即時型食物アレルギーとは・・・3つ】
1、原因食物を摂取してから通常2時間以内に出現するアレルギーによる症状
*即時型食物アレルギーの人は 食後に運動すると吸収が早くなり症状が出やすくなるので注意
2、アナフィラキシー
多臓器の症状が出現し ショックに進行しやすい
3、特殊型
原因食物摂取後 30分~2時間に運動を行ったときに症状が出る
(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)
口腔粘膜における新鮮な果物・野菜による接触性じんましんで幼児でも増えている
(口腔アレルギー症候群:OAS)
【発症予防について】
1、湿疹の予防で食物アレルギーの発症予防ができるのではないか
2、腸内細菌による予防
1) 乳酸菌を使ったもの=プロバイオティクス
2) 菌を使わずビフィズス菌を増やすオリゴ糖など=プレバイオティクス
*出生後の抗生剤投与がリスクを高めることが言われている
*腸内にビフィズス菌があることが重要
*生後0~3か月で腸内のビフィズス菌が少ないと 2歳ごろのアトピー性皮膚炎が多いという報告あり
*出生前~出生後でプレバイオティクス療法やると湿疹を減らす効果はある
3、離乳食開始時期
生後4か月の早期離乳食では、6か月以降開始より湿疹の発症が高率
10か月以上の離乳食開始では、食物アレルギー発症頻度が高くなる
日本では、離乳食開始は5~6か月が適しており 離乳食の開始は遅らせない
鶏卵アレルギー発症予防について 卵は離乳早期に開始したほうがよいか
→日本では医師の管理のもと生後6か月から鶏卵の微量摂取を開始することを推奨している
ただし卵アレルギーがあるかたはしないでほしい
【耐性化を目指した治療】
1、食べられるもの(安全に摂取できるも)を継続して食べること
牛乳関連=過熱して利用
卵関連=卵クッキー、カステラ、卵ボーロ、卵つなぎ(ハンバーグなど)
大豆・小麦関連=醤油、みそ、麦茶
魚関連=かつお、いりこだし、ツナ缶、しらす干し
2、食べられないものを除去して 自然治癒を待つ
3、積極的治療(経口免疫療法)
安全量の範囲で摂取する
半年~1年毎の負荷試験で安全量を決め 耐性化をめざす